宗教事務条例に仕掛けられた落とし穴

家の教会が合法の地位を得るためには、二つの方法があると言われている。

一つ目は、“両会”の管理下に入る方法
二つ目は、宗教事務条例に従って登録する方法

まず、大部分の家の教会は“両会”の組織下に入ることを望んでいない。家の教会が“両会”の組織下に入りたくない最大の理由は、権力が“両会”に一極集中してるためで、“両会”は、誰を牧師に任命するか、牧師をどこに配置するか、何を説教させるか、どんな訓練クラスを開講させるかなど、人事権を含む教会運営に関するすべての権限を握っている。

大部分の家の教会は教会の自主性を失ってまで、合法の地位を得たいとは思っていない。

宗教事務条例にしたがって登録する際に必要な項目

次に、宗教事務条例に従って登録する方法があるが、これも、現状全く進んでいない状態にある。
まず、宗教事務条例には五つの登録対象が記載されている。

①基督教徒個人を登録
②宗教団体を登録
③宗教活動場所を登録
④教職者を登録
⑤宗教財産を登録

この中で、最も重要なのが、以下の二項目。

②宗教団体を登録
③宗教活動場所を登録

中国には、社団法人制度はあっても、財団法人制度がないため、教会活動場所(礼拝堂など)の財産に法人格を与える手段がないため、③宗教活動場所を登録することは不可能。もし、宗教活動場所を登録するなら、先に家の教会を宗教社団法人として成立させ、その後、宗教活動場所を登録する方法しかない。

次に、②宗教団体を登録させる方法だが、

「宗教事務条例」6条には、宗教団体を成立、変更、登録する際は、
「社会団体登記条例」の11条に基づいて手続きするように定められているが、

ここに記載されている内容に多くの矛盾が含まれているため、家の教会の登録手続きが全く進んでいない現状がある。「社会団体登記条例」の11条には、「社会団体を設立する際、代表者は業務主管部門の批准文書を、登記機関に提出しなければならない」と記載されている。

まず、家の教会には、この“業務主管部門”が存在しないため、実際、宗教事務条例6条に従って登録手続きをするためには、三自愛教会を業務主管部門として、批准文書を発行してもらわなければ、手続きを進めることができない。もちろん、この方法で手続きを進めれば、三自愛教会の政治体系に入ってしまうことはいうまでもない。

また、「社会団体登記条例」の13条には、「同行政区内に業務範囲が同質、あるいは類似する社会団体が既に存在している場合は、新規設立する必要はない」と記載されている。この条目の目的は、明らかに家の教会の成長に制限をかけることを意図したもので、もし、一つの行政区に、一つの教会しか存在できないとすれば、その存在が許されるのは、間違いなく、政府が管理している三自愛教会で、その他の教会はすべて違法と認定されてしまう可能性がある。

宗教事務条例の巧妙なからくり

さらに、もう一つ巧妙な法の罠がある。宗教団体は社団法人として民政部に登録され、民政部によって管理されることになっているが、宗教活動場所は宗教事務局に登録され、宗教事務局によって管理されることになっている。

そして、宗教事務条例には、宗教活動場所を登録する際は、県、市、省の三級の宗教事務局の審査を受けなければならず、事細かにその順序が定められている。たとえ、「社会団体登記条例」の手続きに従って、家の教会が法人格を獲得したとしても、宗教事務局が宗教活動場所を認可するとは限らない。

憲法では宗教信仰の自由は保障されており、宗教団体として法的に存在が許されたとしても、宗教活動場所を登録しなければ、違法な集会、または違法な宗教活動として、政府の弾圧の対象になってしまう。

以上のような理由により、現在、家の教会の合法化になんら進展が見られない状態にある。

※参考資料

我国基督教“家庭教会”问题分析 李小虎
参考資料

淮海工学院学报(人民社会科学版)第10卷 第2期 2012年1月