中国の寿司詰めのバスとゆがんだメガネ

中国のバス事情は日本のそれと少し違います。

自由ですが、無秩序。
自由ですが、思いやりが欠如している。
自由ですが、混乱しています。

まず、運転手ですが、かなり自由です。乗客と大声で話をしたり、携帯電話で話をしたりします。信号待ちの際は、窓を開けて横に停車したバスの運転手とおしゃべりをしたりもします。

事前告知なしの急発進、急ブレーキは当たり前です。これは私の予想ですが、たぶんわざとやっていると思います。そこらの遊園地のアトラクションより、体が浮いたり、ずれたり、跳ねたりします。

ある時、私が最後方座席に座っていた時、ある段差で、5人全員が同時に宙に浮いたことがあります。まるでコントです。

また、日本であれば、お年寄りが乗車した際は、お年寄りが座るまでバスを発車させたりしませんが、ここでは容赦しません。乗車後、急発進です。

あと、車内放送ですが、ラジオや有線放送じゃなくて、明らかに自分の好みの音楽流しているやろ!というような運転手もいます。

公務員でもフリーダムです。

次に、時刻表ですが、東莞のバスにはそもそも時刻表がありません。30分待っても1台も来ない時もあれば、少しも待たずに仲良く3台同時に来る時もあります。ある日、30分ほど待って、41番に乗りました。それから、しばらくすると、後方にもう一台41番が現れました。

バス停が近づき、私が乗車する41番がバス停で停車しました。後方の41番の運転手は、恐らく二台もバス停に停車する必要はないと判断したのでしょう。後方車は、そのまま、抜かして私の前方へ行きました。

それからしばらくすると、またバス停が近づいて来ました。バス停には先ほど私のバスを抜かしたバスが停車していました。次は、私が乗車するバスがバス停で停車せずに、抜かして行きました。

結局、目的地に到着するまで、ずっと、抜かしては抜かされの繰り返しが続きました。連携プレーなのか、レースなのかわかりませんが、やめてほしいです。

次に、乗降車の際注意すべきことですが、原則、前方入口から、乗車し、後方出口から、下車します。乗車料金支払い方法ですが、乗車の際に、現金2元を投入、または交通カードで支払います。

万が一、満員で前方入口から乗車できない場合も、決して諦めてはいけません。乗車する方法が2つあります。ひとつは、まず、先に前方入口へ行き、現金2元を前方付近に立っている乗客に渡し、代わりに投入箱に入れてもらいます。それから、自分自身は、後方出口から乗車する方法です。

もう一つは、初めから後方出口へ駆け込み、まず、乗車を確保します。それから、現金2元をバケツリレー方式で前方まで2元を運んでもらう方法です。

ですから、満員状態のバスで、前方と後方の中間地点に立っていた場合は、唐突に全く知らない人から、8元くらい(4人分)渡される事があります。このような時には、受け取った8元を、できるだけ前方近くにいる乗客に手渡さなければなりません。

今朝は7時30分頃から、自宅付近のバス停でバスが来るのを待っていました。この時間帯は通勤ラッシュで、座席に座るどころかバスが来ても乗車できるとは限りません。

今朝も既にぎゅうぎゅう詰めのバスが一台バス停に到着しました。そのとたん、10名ぐらいの人がバスに群がり始めました。

私は、そのバスに乗らないので、憐れむ思いで、傍観していました。バスの後方出口が開き、数名がバスを下車しました。ただ、前方入口は開きませんでした。恐らく、運転手がこれ以上は乗車できないと判断したのだと思います。

それを知った10名は一気に後方出口に殺到、既にバス内はすし詰め状態なのに、我先にと、押し込み無理やり隙間を作って乗車しようとしていました。

結局、出口ドア付近に人が集まりすぎ、ドアが閉まらくなり、バスが発進できない状態になってしまっていました。男性二人が降りれば、ドアが閉まるのに、二人は一向に降りようとしません。

本当に見苦しいです。

朝から嫌なものを見たと思っていたら、私が乗るべきバスが見えました。バス停には、ドアが閉まらないバスが停車しているため、私が乗るべきバスはそこを大きく通り越し、前方で停止しました。

私と数名の乗車希望者が急いでバスに走り寄り、乗車を試みましたが、先ほどのバス同様前方ノンオープンタイプでした。私はこれに乗らないと遅刻してしまうため、我を忘れて、後方に回りこみ、乗ろうとしました。

既に車内はぎゅうぎゅう詰めでしたが、無理やり乗車してやりました。やれやれと安心したのもつかの間、後方のドアが閉まる時に、哀れにもポイっと外へ投げ出されてしまいました。ドアはバスに対して水平に動作するスライド式ではなく、門のように左右に分かれているセパレートタイプで開閉する物です。

バスにペッとはじき出される際、乗客の腕が私の顔面にあたり、かけていたメガネがずれて、なんともみっともない格好で、置いてけぼりにされてしまいました。

朝からみっともない。
穴があったら入りたい気持ちでした。

一人で笑ってごまかして、ずれたメガネを直しながら、自分がいちばん見苦しいなと思いながら、仕方なくタクシーを探しに歩き出しました。

「天国は激しく襲われている。そして激しく襲う者達がそれを奪い取っている。」

中国はクリスチャンが多いですが、中国人は天国に対しても、このように貪欲なのかもしれません。

カナンの地は今日も輝いています。

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